(公開日が2022年5月になってますが、これ書いてたのは2021年7月です)
私は現在大学4年生です。そして季節は夏。
思い返してみれば、この4年間で青春と呼べるような青春はできなかった。
大学1年では資格取得に追われ。
大学2年ではサークルとバイトに追われ。
大学3年ではダブルスクールに追われ。
大学4年の現在は就活に追われてます。
頑張ってきたなーとは思いますがキラキラしたような青春は送ってこれませんでした。旅行の1つくらいは行くべきでしたね。
そんなわけで大学4年の夏、最後の青春ができる時間だと思い何かの思い出作りをしたいと思いました。
しかし、あれこれ考えてしまうのが俺の悪いところ。具体的に次のことが心配です。
①友達を呼ぶのはその友達に対して迷惑ではないだろうか。また、旅行とかで一人で回りたいときとかに友達が邪魔に感じる瞬間がありそう。
②大学入って20kgほど太ってしまい、せっかく痩せ始めたので旅行先でのグルメとかで太りたくない。
③太ったから外出先行くのもだるい。今コロナだし。クソ暑いのになんで外行かなあかんねん。
④金がない。
こういった理由で、思い出作りは絶望そうです...。
が!見つけました①~④を満たす思い出作りが!
それが断食です。
↑
【※読まなくていいです】
フランツ・カフカの名著。
主人公は自らの断食を見せ物にする芸人。
断食芸人は「自分に合った食べ物を見つけることができなかった」と述べ、檻の中で息絶える。断食芸人が片付けられると、その檻には生命力に溢れた豹が入れられるというオチ。
断食というのは言わずもがな食を断つことであります。
これは友達もいらなくて痩せるし外出もしなくて済むしお金も一切かかりません。①~④を全部満たしてる!
しかも、しばらく断食した後の食事というのはたとえ牛丼であっても死ぬほど美味いと聞きます!
何日も食べずに腹減って死にそうになるのは強く記憶に残りますし、その後の食事は最高の思い出になってくれそうです!別に高い食事じゃなくても美味しく感じるという点が、金がない俺にマッチしてますね。
ということで断食を決行することにしました。
さて、何日間断食しよう。
YouTuberはどんくらいの日数断食に挑戦してるんだろうと調べてみると断食ダイエットが大量にでてきました。
見てみると、完全に食を断つのではなくちょっと食を断った後に食事をご飯と味噌汁だけにして痩せるんだとか。
むしろ完全な断食は体に悪影響だ。という動画までありました。
まあぼくとしてはダイエットがメインではなく思い出作りの側面が強いので、特にこれらは参考にしませんでした。
ただ空腹に耐える動画だと3日間が多いのでそれを参考に7/22~7/24までの3日間断食することにしました。
そんなわけで、とりあえず3日間断食することにしました。まだ行けそうだったらもう少し続行って感じで。
【☆断食ルール☆】
・食べ物なし
・水と氷以外は飲めない(ジュースありなら楽すぎるので)
・栄養失調防止のため塩とサプリメントは取る
というわけでスタート!
【初日】
体重77.1kg
【1日目】
現在1日目です。
前日に家系ラーメン+餃子+ライスを食べ、その腹持ちがあったためあまりつらくなかった。
現在1日目の夜中に書いてるんですが、あまり書くことはなさそうです。なぜなら俺は1日ドカ食いして翌日食べないことが日常的にあるので。
水だけもそんなつらくない。
意外と3日間つらくないかも?
【1日目 体重:75.0kg】
【2日目】
いよいよ断食っぽい症状が現れてきました。
朝の段階では水でお腹いっぱいになっていたんだけど、昼頃からお腹がすんごい減った。
自分は1kgくらいのラーメンによく挑戦して、そのときのお腹の膨張感は常日頃から味わってたけどこのお腹と背中がくっついてしまうような感覚は久しぶりかもしれん。
むしろ、胃に消化するものがなくて肝臓の栄養も底を尽き、自分の脂肪が燃焼され痩せていく感覚はどこか心地よさすらあった。ということでちょっと楽しくなってきた側面もある。
頭も、「働いてないな~」というのがよく分かる。全然大したことないけどちょっとフラフラもした。
あと、歯医者さんに行くはずだったのに、いざ近くまで来て歯医者さんをスルーしてそのまま帰ろうとしてた。
あ、戻らなきゃと思ってまた歯医者さんに行こう来た道を戻ろうとしたけれどまたまたスルー。
単なるうっかりかもしれないが...。
【2日目 体重:74.2kg】
【3日目】
腹が減ってあまり寝つけない中の起床。
朝はそんなにつらくないけどこれ夜が寝れなくて死ぬほどつらいです。
この日はコロナのワクチン摂取でした。
副反応で熱が出ることよりも貧血とかで倒れないかが心配でしたが、無事に体調不良もなく終われました。
・・・でです。
ここで事件が起こりました。
会場を去る時に、出口に塩分補給用のラムネが置かれていました。
私はあろうことかそれを無意識に取ってしまい、口に運んでしまったんです。
ただのラムネなのに舌がビリビリと痺れ、
糖分を脳が喜びます。
なんだこの変に美味しいラムネはと思って気づきます。
今断食中だった…。
ラムネを口に入れるまで完全に無意識でした。
無意識に手がカロリーを求めてしまったのかも知れません。
ここで、俺の中の何かの糸が切れます。
油そば食べたい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ワクチン摂取会場を出て電車で新宿に直行。
なぜかその油そば店に向かうまでがこの3日間で一番記憶に残っています。
目がギラつき前傾姿勢で鼻息荒く早歩きをしていました。
この3日間、「食べる」という選択肢を排除していたため、どんなに美味しい料理を見ても「どうせ食べれないから」と割り切れました。
何を食べても良いという状況になった時に、腹を満たせる全ての誘惑を振り払って油そば屋に行く必要があったのです。
すき家の看板。
駅のホームの立ち食い蕎麦屋の匂い。
焼肉屋の近くを通った時の匂い。
全てに発狂しそうになりました。
糖分を3日間摂っていないため脳が回っていません。当然のごとく最強盛り(3.5玉)とチャーシュー丼を頼みます。
そして肝心の味なのですが、大変申し訳ありません。
正直あまり覚えていないんです。
顔面をぐちゃぐちゃにしながら夢中で麺を啜ったのですが、記憶がほとんどありません。
脳の快楽指数で言えば圧倒的にラムネが勝っていました。
3日間の断食をすると、油そばよりも塩ラムネの方が美味しく感じることができるということなのでしょうか。
そして、麺をすすった後のことは克明に覚えています。
皆さん、断食をしたのだからたくさん量が食べれるとお思いでしょうか?
答えはバツです。
3日間の断食の結果、僕の胃の消化能力は弱りに弱っていました。
そんなところに油そば3.5玉とチャーシュー丼をぶちこんだ結果。
店を出てすぐ吐きました。
それも、我慢できずに路地とかではなく道の隅っこで。
幸い人通りが少なかったため、誰にも見つからずに急いでその場から逃げました。
新宿なんて毎晩道端で何十リットルもゲロが吐かれているだろうという酷すぎる言い訳が即興で脳内に思いついたのです。
人間、ピンチの時に素が出るとはよく言ったものですよね。
その後はゲロまみれのマスクをコンビニで捨て、新しいマスクを購入して何も考えられないまま帰路に着きました。
3日間苦しい思いをし続け、
楽しみに待ちわびた食事はラムネに奪われ、
何も考えず記憶にも残せないままに油そばにがっつき、
道端でゲロを吐いて多大な人に迷惑をかけ、
誰も何も喜ばない結末を迎えてしまいました。
これが私の大学4年生で試みた思い出作りです。
世の中の大学4年生は単位も取り終え内定も出て旅行やセックスで思い出を作るというのに。
私は単位もまだ残ってて内定も出ていない中、目をバキバキにしながら啜った油そばを吐いて色んな人に迷惑をかけてゲロの匂いがしないか気にしながら西武線に乗ったのが私の思い出です。
笑い話にしたかったんですが、文字にしてみるとなかなか可哀想で笑いにくいですね。
これじゃ断食芸人失格だ。